サザンオールスターズとB’zが22日、それぞれのツアー最終公演を行った。今夏、5年ぶりに活動を再開したサザンは宮城・利府町の宮城スタジアムに5万人を集め、B’zには横浜市の日産スタジアムに同会場で過去最高の7万5000人が集結した。いずれも長く老若男女に愛されてきた日本を代表するアーティスト。早くも2020年東京五輪テーマ曲を作ってほしいアーティストに声が上がっている。

 無数のカラフルな風船と花火が上がり、華やかにライブが幕を開けた。宮城スタジアムはライブ開催が可能な会場としては東北最大。過去にSMAP、EXILEが公演を行ったが、2011年3月11日の東日本大震災発生以降、初のライブ開催。桑田佳祐(57)は万感の思いを込めてあいさつした。「サザンとして帰ってくることができました。東北のみなさん、ありがとう!」。

 震災以降、桑田は節目に必ず東北を選んでいる。震災発生から半年後に、宮城県内でライブを開催。桑田自身、食道がんの手術後から約1年6カ月ぶりとなる初めての本格ライブだった。昨年開催した5年ぶりの全国ソロツアー初日公演も宮城。サザンとして、5年ぶりの活動再開となる野外スタジアムツアー最終公演会場に宮城スタジアムを選んだのも、思い入れの深さを表していた。

 サザンとして約8年ぶりの東北公演は、地元ファンに寄り添った。「太陽は罪な奴」では「牛タン、笹(ささ)かまぼこ、ずんだもち…萩の月!」と仙台名産を並べ、地元ファンを喜ばせた。アンコールでは、宮城の代表曲ともいえる「青葉城恋唄」を披露。岩手県がロケ地のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のパロディー映像を流し、ストリングスメンバーは海女風衣装で演奏した。

 今年でデビュー35周年。肌寒さを覚える秋の夜空の下でもステージから放水するなど、ユーモアあふれるライブ定番もしっかり盛り込んだ。約3時間でアンコールを含め33曲を披露。「1曲でも多く聞いてもらいたいから、今日はサブステージは作らなかったよ」。桑田は移動時間を惜しむほど、歌を届け続けた。

 今後は未定だが、桑田は約5万人の前でサザンの近い将来を“予言”した。「何度でも帰ってきたいと思います。またお会いできるとしたら来年かな、多分」。観客に配った光るリストバンドで、「サザン」「ハートマーク」「東北」という人文字を演出。サザンからのメッセージが打ち上げ花火とともに、東北の夜空を明るく照らした。【近藤由美子】